76店舗の不動在庫を処理。グループを支えるデッドストックセンターの裏側

公開日:2021年12月15日
スギヤマ薬品グループ全体の不動在庫解消を担うデッドストックセンターについて、設立に至った背景から現在の運用方法、今後の展望についてお伺いいたしました。

株式会社スギヤマ薬品 薬事本部 第一運営部 部長 伊藤敦司 様

株式会社スギヤマ薬品 スギヤマ調剤薬局小牧店 店長 兼 MCセンター長 河村慎太朗 様

 

前編:ドラッグストアチェーンの効率化された不動在庫対策とファルマーケットの活用法

1)店舗概要

不動在庫に特化した体制で、グループ全体の時間効率向上へ貢献

Q:デッドストックセンターについて教えてください

伊藤

デッドストックセンター(以下、センター)はスギヤマ調剤薬局小牧店内に併設という形で、スギヤマ薬品グループ内の在庫差配に特化したセンターになります。当社は調剤専門店舗もありますが、面受けを基本とするドラッグストアの調剤併設店舗が多いため、店舗当たりの不動在庫数がどうしても多くなりがちという課題がありました。この課題を解決するため、2014年から稼働を開始いたしました。

 

河村

もともと、店舗ごとに不動在庫の店間移動は努力して行っておりましたが、GE比率の増大、併設店が増えたことにより、グループ全体での不動在庫や廃棄が増えてきていました。融通する医薬品ごとに店舗間で確認しあう状態も、スタッフの負担になっていました。

何よりも、「まだ使える薬を捨ててしまうことがもったいない」という思いもあり、センターの立ち上げを会社へ提案し、私が責任者として運用しています。

 

Q:デッドストックセンターの利点を教えてください。

河村

不動在庫の処理に関する運用効率が一気に高まりました。デッドストックに特化した体制を整えたことで、全店舗の在庫が一元管理できるため、集約から分配までスムーズに処理できます。グループ全体として、在庫管理に関する時間を大きく短縮できたことを感じます。

 

伊藤

店舗では、調剤・接客・各種在庫管理といった複合的な仕事があるなか、不動在庫の管理は優先順位が低くなりがちです。また店舗間の相対取引では、お互いの店舗状況をみながら交渉するので調整に時間がかかることも負荷になっていました。

センターから機械的に分配するので、店舗間の関係性の面でも問題が起こりにくいこともメリットだと感じます。

 

Q:デッドストックセンターの稼働状況を教えてください。

河村

毎月、グループ内の不動在庫をこちらのセンターへと集約し、1商品ごとに「①:他店舗へ移動」、「②:センター内で一時保管」、「③:ファルマーケットさんへ売却」の3通りに分類しています。

 

伊藤

本取り組みを構築できた背景には、仕組みを成り立たせる2つの条件が揃っていたこともあります。1点目は当社が東海3県でのドミナント展開であること。2点目として自社内で独自の流通網を保有していたことです。

元々、自社便にて商品を配送していたところに各店舗の不動在庫をのせるので、本取り組みによって輸送コストが増えることもありません。効率的・効果的に全不動在庫の集約と差配が実現しました。

 

 

  

 

2)デッドストックセンターの運用方法

立ち上げは苦労したが、今ではメリットを感じて貰えている

Q:在庫ごと移動・保管・売却の判断方法を教えてください。

河村

機械的な側面と私の感覚的な側面を融合した見極めになっています。

まず、他店舗で利用できるものは基本的に移動対象品としています。移動できない場合にはファルマーケットさんへ売却するか、センターで保管するかの対応となります。売却できる場合もすぐに売るのではなく、例えば急性期や季節性の医薬品のようにセンターでしばらく保管しておけば店舗で使用できるものは、ストックするようにしています。上記の分類をするときには、時間短縮のため専用のスタンプを利用しています。

 

Q:不動在庫はどのように抽出しているのですか?

伊藤

年3回、本部で不動在庫を機械的に抽出し、リスト化したものを各店舗へ通知しています。不動期間をもとに対象品目を選定していて、具体的には不動期間が半年と一年の2種類を抽出しています。対象品のうち、高額なものから優先してセンターへ送ってもらっています。

 

Q:センターを立ち上げた時に大変だった点を教えてください。

河村

新しい取り組みということもあり、始めた当初は配分先の店舗から苦情をいただくこともありました(苦笑

「薬が調剤されるかもしれないから置いて欲しい」という可能性レベルの在庫をお願いする場合もあるので、「この薬は調剤に使わない」といった連絡がくることはありました。

 

伊藤

他には、「旧包装品を送られてきても困ります」といった連絡もありました。

新しい取り組みなので、苦情が出ることは致し方ないと考えてスタートしました。最近では、運用に慣れてきたことやセンターのメリットを理解してもらえたのか、不満の声は落ち着いてきました。

 

河村

各店舗で納品時の負担が少しでも減らせられるよう、送られてきた不動在庫に対する検品はしっかり行ってきました。商品状態はもちろん、シートごとの製造番号まで全てチェックしますし、包装変更に関しても確認します。精度高く検品をし、適切な状態で他の店舗へ移動するよう心がけています。

 

 

 

3)Pharmarket(ファルマーケット)の活用方法

査定結果確認の視認性と全体的なスピードに満足

Q:ファルマーケットへ売却するタイミングを教えてください。

河村

現状のサイクルとしては週1ペースで売却をしています。不動在庫のうち売却対象となるのは一部とはいえ、もともとの母数が大きいこともあって、1か月でも相当な量になります。

送料を考えると、なるべくまとめた方がコスト的に良いことは理解しています。でも、大きな段ボールにたくさんの商品を詰め込んで、ファルマーケットさんへ到着するまでに商品へダメージが発生してしまうのは避けたい。

弊社の商品を使っていただく薬局さんがいることを考えると、売却する際にも商品は丁寧に扱いたいと考えています。

 

Q:ファマーケットの使いやすい点を教えてください。

河村

仮査定から本査定までWEBで完結することです。仮査定と本査定で金額が変わった場合にも、どの商品がどれぐらい価格変動したのか照合もしやすいので、社内処理をする上でも管理しやすいです。

あとは、全体的なスピードにも満足しています。商品を送ってから本査定までの早さもそうですが、何か問合せをしたときも迅速に対応していただけるので、弊社側の処理もスムーズに進めることができます。

 

 

Q:ファルマーケットへのご希望を教えてください。

河村

買取していただける商品ラインアップを、もっと拡充して貰えたら嬉しいです。例えば、未開封状態のバラ包装品では、買取OKとNGの商品が混在しているかと思います。対象品目をもっと広げていただけると弊社の廃棄も減らせるので、検討いただけると助かります。

 

 

4)デッドストックセンターの今後の展望

高まる麻薬廃棄の減少へ向けて取り組みたい

Q:デッドストックセンターの今後展望についてお聞かせください

河村

廃棄割合が高まってきている麻薬についても、何か対策を打ちたいと考えています。麻薬移動の規制緩和もありましたので、まずは社内体制を整えるところから始めたいです。

 

Q:最後に一言、お願いいします

伊藤

医療用医薬品の廃棄は、業界的に大きな課題だと感じています。SDGsの視点から、「もったいない精神」を持って再利用に繋げたいという思いはあります。

不動在庫の流通量が増えて、法人の垣根を越えた需給のマッチングも加速していく。そんな、業界全体としての健全化が進んだ未来へ貢献できたら嬉しいです。

 

 

 

前編:ドラッグストアチェーンの効率化された不動在庫対策とファルマーケット活用法


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