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在庫管理は「薬局が果たすべき役割」。AIで発注業務時間を半分以下にした鳥取の薬剤師が考える、サステナブルな医療

公開日:2023年03月30日
発注作業・在庫管理の効率化は、対物から対人シフトのためだけではなく、地方における薬局の存在意義から考えて、欠かせない要素である。 そんな思いで『Musubi』のAI在庫管理機能を活用し、発注にかかる業務時間を半分以下にしたのが、鳥取県琴浦町にある「ことうら薬局」の松本恵吾さんです。 薬局の開設者兼管理薬剤師である松本さんが考える、「人口減少社会における薬局の存在意義や果たすべき役割」とは何でしょうか。 2022年1月の導入後、薬局内に生じた変化と共に伺いました。

※こちらの記事はカケハシ社の記事を転載しています。実際の記事はコチラ

医薬品卸の営業所が撤退せざるを得ない、地方の現実

―薬局の特徴を教えてください。

松本さん:

私たちの薬局は、県庁所在地の鳥取市と県内第2の都市の米子市の間に位置する、琴浦町にあります。鳥取県は日本で一番人口が少なく、人口減少や地域の過疎化が進んでいる県です。最近では卸さんの営業所が閉鎖してしまい、急配依頼をしても数十キロ離れた営業所からという状況です。「急配」とは言うものの、急いで対応いただくことが難しくなっている現状をひしひしと感じています

門前の診療科は脳神経外科の専門の先生ですが、高血圧やパーキンソン病の患者さんなども受診されますし、いつもの受診のついでに湿布薬や花粉症の薬が出るようなこともあります。また、老健施設やお泊まりデイサービス、サ高住など施設在宅のお薬も受け持たせていただいています。そんな状況で、どうしても品目数が多くなりがちで、ほんのわずかの在庫も含めると1,500品目ほどはあります。

私自身、大学を卒業した直後は、神奈川県の薬局で勤めていたこともあって。その時と比較しても環境の違いは大きいですね。

医薬品の在庫を管理することは、本来薬局が果たすべき機能

ーなぜ『Musubi』AI 在庫管理機能を導入しようと考えましたか。

松本さん:

業務効率化という面もありますが、本質的には、地方の医療を支える調剤薬局の薬剤師が、地域のために医薬品の在庫を管理する重要性を感じているからです。もちろん、新規処方でどうしようもないケースもありますが、汎用品さえも含めて急配に頼っている状態となってしまうと、本来薬局が果たすべき在庫機能を「外注」してしまっているようで。それはあるべき姿ではない、と常々考えてきました。

事務スタッフさんにお任せしたかった発注・在庫管理業務

ー『Musubi』AI在庫機能の導入は2022年1月でしたね。

松本さん:

はい。2018年から事業承継の実務と並行して発注管理システム導入を検討し、最初は医薬品卸が開発しているものを選びました。発注点を決める必要がないシステムだったのですが、メーカー変更や、使用実績を引き継ぐといったことができなくて。外用剤や注射剤など何日分かが書かれてないような薬にも対応しきれませんでした

開発会社さんに要望を上げたこともありますが、完成品のシステムに要望が反映されることってなかなか難しいのですよね。やりたいことをやるためのシステムなのに、システムによってやることが制限されていることに、もやもやしていました。

業務効率化を考えると、発注・在庫管理業務を自分以外の人にお任せする必要があります。ただ以前は、「事務スタッフさんにお任せして、欠品になって患者さんにお薬が渡せなくなったらどうしよう」という不安があって、システム導入を業務効率化につなげる難しさを感じていました。

そんな中、『Musubi』のAI在庫管理機能には、患者情報に基づいて発注できるという特長があると知りました。これであれば根拠に基づいた発注ができて、欠品を避けられるかもしれないと思い、導入を決めました。

AI在庫管理は「いろんな機能が次々増えていく」

ー『Musubi』のAI在庫管理機能を使い始めた当初、印象に残っていることはありますか。

松本さん:

わかりやすい、という印象が強かったですね。


まずは、慣れるのが大変な導入直後の時期、Musubiのスタッフさんから受けた、システムのコンセプトの説明がわかりやすかったです。そして、薬剤師はもちろん、事務スタッフにとってもUI(画面)がとっつきやすい。新しい機能が使えるようになると、右側に赤い丸でリリース情報が出てくるのですが、この赤い丸を見るとうれしくて、「どんな機能かな」とクリックして開きます。

『Musubi』のスタッフさんに「こんな機能がほしい」と要望を上げていた「ラベル機能」が反映された時は、「あったらいいな」がどんどん実現化しているように感じました。新しいサービスで、いろんな機能が次々に増えていくのは、以前使っていたシステムとの大きな違いです。実際、事務スタッフさんにも業務を任せられるようになりました

ラベル機能(赤色で囲った部分)の画面イメージ

患者さんの姿が「見える」ような発注画面


ー患者情報が確認できる機能は、実際に使ってみていかがでしたか。

松本さん:

これは本当に便利です。発注業務をしていても「あ、あの患者さん」と、この先、来局する患者さんの姿が目に浮かぶのですよね。同じことをするとなると、レセコンや薬歴まで情報を拾いに行かなければならない。発注という業務と、患者さんに必要なお薬を渡す、という業務がシームレスになる感覚はありがたいです。

導入前後を比較。発注にまつわる時間は半分以下に

ー新しく追加される機能を、しっかりと使いこなしているのですね。

松本さん:

はい。特に「必須買い」「安心買い」(※)の機能が追加され、発注にまつわる時間は半分以下になりました。
(※)
「必須買い」…現在の在庫量がすでに発注点を下回っており、当日中に購入が必須な医薬品の一覧を表示します
「安心買い」…現在の在庫量は発注点以上ですが、向こう30日分の来局予定を考慮すると発注点を下回ると予想される医薬品の一覧を表示します

松本さん:

以前はわたしが夕方以降に発注業務をしていたのですが、これをもし従業員にお願いするとなると、残業時間になってしまう。薬局経営全体を考えると、このような時間を減らしていくことは大切ですよね。

持続可能な地域医療を、薬局から考える

ー薬局経営の今後を考えると、いろいろと変化が求められているのですね。

松本さん:

調剤薬局業務が変わっていくこと自体は、ポジティブにとらえているのですよ。

たとえば在宅訪問について言うと、在宅の患者さんに薬剤師が専門性を生かして継続してかかわっていくことは、患者さんはもちろん、ヘルパーさんをはじめとした介護の担い手の皆さんの負担も減らせる可能性があります。

前提として、人口減少や少子高齢化が進む地方において、薬剤師だけではなくMS、医師、看護師、介護士など、医療や介護を仕事として選び、それを支えている人たちには限りがあります。「SDGs」や「働き方改革」という言葉が聞かれて久しいですが、医療や介護に携わる人たちが持続可能な形で、地域を支えていくことが大切だと思うのです

地域のみなさんに安心してお薬を通じた医療を提供する。そのためにも、医薬品の在庫を管理していくことは、調剤薬局が担わなければならない役割の一つだと思っています。

ーなるほど。地域において求められる調剤薬局の姿が見えるようなお話です。最後に、今後取り組んでいきたいことをお聞かせください。

松本さん:

「対物から対人」という業界全体の流れの中、対人業務の核となるのはやはり服薬指導だと考えています。極論を言えば、お薬というのは処方医の指示通りにしっかり飲んでいただいてこそ。そのためには、やはりしっかりと患者さんに処方薬についてお伝えすることこそが重要です。

『Musubi』AI 在庫管理機能で、未来を見越した発注ができ、「持続可能な形で地域を支える」に少し近づいているような気がします。ですからここで改めて、対人業務の基本とも言える服薬指導の充実に力を入れていきたいですね。

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