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人と同じクオリティの医療を動物へ。日本初のペット専門薬局が挑む動物の医薬分業とは?

公開日:2023年03月15日
日本初のペット専門薬局、12(わんにゃん)薬局。どんな課題を解決すべく設立したのか、人間向けと動物向けの薬局との違い、Pharmarketの活用方法についてお聞きしました。

株式会社12薬局 代表取締役 石原玄基様

ペット専門薬局の12(わんにゃん)薬局とは?

全動物病院の7割が少人数での経営。獣医師の負担を軽減したい。

Q:12(わんにゃん)薬局について教えてください。

2020年4月にスタートした、日本初の動物専門の薬局です。ペットを動物病院へ連れていくと、診察されてお薬を渡され帰宅するという、いわゆる院内調剤が通常かと思います。我々は、動物を対象とした日本初の医薬分業サービスを提供しています。

動物病院では、獣医の先生が診察から薬の調剤まで幅広く対応しなければなりません。調剤も、人のようにシートのお渡しではなく、分割や粉砕など作業の負荷が大きくて長時間化してしまう。動物病院・患者さん双方にとって悩ましい問題でした。

我々のサービスでは、診察が終わったら薬を待つこと無く、すぐに帰宅いただけます。診察した獣医師は、私どもへお薬の作成を依頼します。受け取った調剤指示をもとに薬を作成し、患者宅へ発送するという流れになります。

Q:なぜペット専門の薬局を設立しようと思ったのでしょうか?

前職がペット保険を提供する会社に勤めていて、動物病院が抱える課題を目の当たりにしていたことがキッカケですね。

動物病院は全国に1.2万件ほどあり、獣医師1人と少数スタッフで運営する医院が7割を占めます。診察から調剤まで医療行為が多岐にわたるため、1人の獣医師だけでは手がまわらない。必然と周りのスタッフが獣医師のサポートに周り、スタッフの業務負荷が大きくなってしまう。先ほどお伝えした通り、患者さんも待ち時間が長い。

作業負荷の大きい薬の調剤を切り離すことにより、課題解決ができるのではと考えました。

また、2022年5月に制定された「愛玩動物看護師法」により、動物医療に関わる看護師業務が明確化されたことも、業界的には大きなインパクトを与えました。動物病院の生産性・専門性向上の観点から、法律上、獣医師と薬剤師のみに認められている調剤業務に関しても医薬分業を意識される動物病院さんは増加傾向にあります。

Q:設立にあたって大変だったことを教えてください。

1番大変だったのは行政との折衝ですね。動物医療は農林水産省(以下、農水省)が管轄していて、薬局はご存じの通り保健所ですね。動物の薬局となると、どちらも知見が無いので、1つのことを確認するために農水省と保健所を何往復もしました(笑)

関連のありそうな農水省の過去議事録を全て読み込んでみましたが、記述を見つけることはできませんでした。

調剤薬局と動物向け薬局の違い

人向けと比べ、分割や粉砕のような加工調剤が圧倒的に多い

Q:獣医師も処方箋のようなものを発行するのでしょうか?

人のような処方箋が無いため、システムで調剤指示を受けています。

VMO(Vets Medicine Operation)という調剤業務委託システムを提供していて、獣医師の先生からダイレクトにオンラインで調剤依頼していただきます。VMOの入力画面はレセコンのようなUI(ユーザーインターフェース)で、患者であるペットと飼い主さんを選択し、薬の内容を入力すると薬の調剤指示書ができあがる仕組みになっています。

忙しい診察の合間をぬって簡単に調剤指示が作成できるよう、シンプルな設計にはこだわりましたね。いろんな動物病院の先生と何度もお話を重ね、二人三脚で開発いたしました。昨年12月にはVMO調剤システムの特許も取得いたしました。

おかげさまで現在は、全国70を越える動物病院さんにご利用いただいています。いっぽう、12薬局は東京と大阪の2拠点なので、北海道や九州・沖縄エリアなど薬局から距離のある患者さんにはお薬の到着まで時間がかかってしまう。そのため、私たちと一緒に動物調剤に協力していただける薬局様も募集しており、2月には鳥取の徳吉薬局様とアライアンスを締結いたしました。

Q:動物と人では、調剤にどんな違いがありますか?

やはり分割調剤ですね。人向けだと小さくても1/4ですが、小動物だと1/6や1/8の分割があります。動物専用の薬はもちろん使用しますが、人体用の医薬品を調剤するほうが多いんです。人用の規格だと動物には投与量が多すぎるので、対象動物ごとに体重換算をし、加工調剤することが多いです。

他にも粉砕したりカプセル充填したりと、工数のかかる調剤が多いです。抗がん剤や免疫抑制剤などの加工調剤も多く、作成者の汚染を防ぐため安全キャビネットも設置しています。

左図:曝露を防ぐため安全キャビネットは密室で作業
右図:分割しやすいようハサミの嚙み合わせを調整 

左図:割線が無い医薬品の細かな分割
右図:左が1/8分割、右が1/6分割

Q:働く薬剤師さんに違いはありますか?

医療を提供するという目線では同じだと思いますが、今後のキャリアとして「チャレンジしたい」という想いを持った方に注目いただいていると感じます。今まで存在しなかった業態ですからね。

動物向け薬剤の知識は0からスタートなので、獣医師向けの書籍やセミナーを活用して、日々勉強に励んでいます。今では、獣医師からの調剤指示に対して疑義照会をかけたり、先生から薬剤の使い方について質問を受けるほど薬剤知識を積み重ねていて、とても頼もしいです。

あ、あと皆さん動物が好きですね!

Q:ファルマーケットはどのように活用いただいていますか?

主に商品の購入サービスを利用しています。通常の仕入価格より安価なためコストを抑えるという目的もありますが、在庫管理の側面で非常に助かっています。

現在、薬業界の問題として流通不安が発生しているかと思います。薬の仕入れに大変ご苦労されてると思いますが、動物向けの薬剤は人向け以上に入手しにくい状況となっています。

医薬品流通において、人と動物を比較した場合、人への薬剤提供が優先されるという事情があります。多くの人体用薬剤を利用しているなか、仕入困難な薬剤がファルマーケットさんで販売しているとありがたいですね。

また、1/8分割のように1回の調剤で使用する錠剤数が少ない場合には、100錠包装で仕入れてしまうと全て使い切るのが困難なこともあります。少量仕入という在庫管理視点でも非常に助かっています。

今後、目指していきたいこと

ペットと人間がより幸せな世界を目指すため

Q:12薬局が描く動物医療の未来について教えてください。

高品質な薬をできるだけ早く患者さんに届け、安心して服用できる仕組み作りに力を注いでいきたいと思います。

私はコーギーを3匹飼っており、ペットというより大事な家族なんですよね。だからこそ、病院へ連れて行った時には高品質な医療を受けさせたい。ペットと人間がより幸せになる世界をめざすため、ヒューマンクオリティの医療を動物にも提供したいというのが我々の願いです。

※本サービスにご興味のある薬局様は、以下から株式会社12薬局様へお問い合わせをお願いいたします。
Webお問い合わせ:https://12pharmacy.co.jp/contact-12
電話お問い合わせ:03-5314-1720

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